忘れてしまえない歌



「俺…悟飯さんの事、好きだったんです」
「…そうですか」
そんなこと云われたって、何て応えたら良いのだろう。
伏目がちにそう云った後のトランクスさんの視線は、ずっとこちらを向く事がなく、この天界から、もっともっと上を見上げていた。
「ごめんなさい。あなたにこんな話」
悟飯さんのことを話す時には、ボクのことを名前で呼んでくれなくなる。

悟飯さんは?トランクスさんのこと、好きだったの?
好きな人が亡くなるって、どんなことですか?
今でも悟飯さんが好きですか?
ボクでは…ダメ?

でも口を出た言葉は、
「ごめんなさい」
誰への謝罪だろう。自分でもわからないなんて…。
-最低-

「笑って。悟飯さん」
「?」
彼の指が近づく。
頬に触れられただけで泣きたくなるのに。
「ごめんなさい。変なこと云って。あなたには関係のないことなのに。ごめんなさい」

ああ、本当に何も知らない。
好きだと伝えられたら、何かが変わるの?
やっと見せてくれた、あなたの傷に触れる事すら、出来ないでいるのに。


会ったこともない悟飯さん。
ボクはあなたと違うから、きっとずるいです。
でも、どうか…もう居ないのなら…
全部じゃなくて良いです。
彼の体温をボクに下さい。
お願い。


The song which cannot be forgotten
November-8-2003
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